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生後6ヶ月から始めた絵本の読み聞かせ。10年間続けて感じたことや気づいたことがあります。そして私たち親子にとって、良いことがたくさんありました。
今回は、私が思う「メリット」のお話です。
目次
子どもにとってのメリット
安心できる時間
親子で肌を寄せあい絵本を読む時間は、優しく温かくふんわりと子どもの心と体を温かく包み込みます。
「自分が受け入れられている」とか「自分は愛されている」という感覚を味わいながら、安心して物語の世界へ入っていくことができます。
そして読了後には、心から満足してぐっすりと眠りにつくことができます。
我が家では、毎晩寝る前に「読み聞かせ」をしていましたので、時間が遅くなり読み聞かせをしない日があると落ち着かず寝付きが悪くなっていました。
それ以来、ほぼ毎日欠かさずに読み聞かせをするようになりました。
「読み聞かせ」は寝付きが良くなる魔法のようなものなのかもしれません。それだけ安心できるということなのでしょう。
豊かな心を育む
思いやりの心
絵本や本を読むことで、自分とは違う気持ちがあることを知ります。本の量が増えるほどに様々な思いがあることに気づき、他人の気持ちを思いやる心が育ちます。
エピソード
ある雨の降る朝、いつもより出勤時間遅めの夫が「今日はパパが送って行こうか」と娘に言いました。
私もその方が助かると思っていたのですが、娘は「ママに送ってもらう」と返事しました。夫はフラれて寂しそうにひとりで出かけていきました。
間もなくして私たちも「さぁ時間だ」と出かけようとしたところ、娘が玄関先で急に泣き出したのです。
まさか・・・学校に行きたくない?と、良くないことが頭に浮かび心配になりました。
理由を尋ねると、娘は涙をボロボロ流しながら、「パパに…パパに悲しい思いさせちゃったかな(号泣)」と。
わたしは拍子抜けしたと同時に、とても温かい気持ちになり、娘を抱きしめました。
「大丈夫だよ、ちょっと寂しかったかもしれないけど、きっと今ごろ車の中で音楽聴いて歌ってるよ」
娘は少し安心したのか、歌っているパパの姿を想像したのか、ようやく笑顔を見せてくれました。
あとでこのことを夫に伝えると「優しい子に育ったね」と返事がありました。娘に思われて幸せそうなパパでした笑
聞く力を育てる
絵本の読み聞かせでは、自然に「聞く力」が育ちます。ただ聞くだけの力ではありません。
集中してお話を聞き、想像をふくらませ、物語の世界へ入っていける力です。
そしてこの「聞く力」は、小学生になってからの学びに大きく関わってきます。
童話館の『絵本のある子育て』という小冊子があります。
その中に、一年生の担任を経験してこられたベテラン先生の言葉としてこのように紹介されています。
「毎年、クラスに1人くらいは、おうちで絵本をよく読んでもらってきたんだね、とわかる子がいます。教師の話をまるで吸い取るように聞いています。そんな子は、もともと“絵本を読んでもらうようにして育てられて”いますから、学習をはじめ、全般にわたって、まず心配のない子ですね」
この『絵本のある子育て』は、図書館や小児科などに置いてあります。この他にも興味深い記事が沢山あります。是非持ち帰って読んでみてください。
聞く力は学びの基盤
集中して人の話を聞くということは、学校で学ぶために欠かせないことです。
授業は先生の話を聞くことで成り立ちます。先生の話をしっかりと聞き理解することが大切です。
集中してお話を聞き、想像をふくらませ、物語の世界へ入っていけるように、先生の言葉をしっかりと聞き、想像し、理解することができます。
しっかりと聞くことができれば、先生の話を理解し、勉強ができ、余裕ができ、学校が楽しくなります。
親にとってのメリット
豊かな言葉を語り聞かせる
絵本を読んでいるとき、子供と大人は同じ世界を歩み深く心を通わせます。
そして、お話は絵本を読んでくれた人の言葉として子どもの心に染みわたるのだそうです。
わたしは、恥ずかしながら読書経験が少ないせいか語彙力がありません。ですから語りかける言葉には限りがあります。
同じ言葉の繰り返しになってしまう。たくさんの言葉をシャワーのようにかけてあげることができません。
そんな私でも、絵本や本を読みきかせることで「豊かな言葉」を語り聞かせることができました。
とくに娘が幼い頃は驚かされることが幾度もありました。私たち夫婦がふだん使わない言葉を口にすることが多くなったのです。
毎日の読み聞かせで「語彙が身につく」ことを娘が証明してくれました。
私自身も読書に目覚め、今では娘と読書を楽しんでいます。
気分転換になる
子育ては楽しいばかりではありませんよね。喜怒哀楽、情緒不安定、イライラ。色々な感情が入り乱れます。
怒っているとき、イライラしているとき、幼い娘が絵本を抱え「よんでぇぇ」と持ってくることがありました。
もちろん絵本の気分ではありませんので読みたくありません。だけど可愛い娘が持ってきた絵本を払いのけることはできず、渋々読み始めました。
すると、最初のうちは渋々読んでいたのに、読んでいるうちに客観的に自分を見ることができ、お話が終わる頃には気持ちが落ち着いています。
絵本を読むと気分が変わることを知った娘は、私がイライラしていると絵本を持ってくるようになったのです。
娘のおかげで「あ、私いまイライラしてたな・・・」と無意識なイライラに気づくことができ、自分が怒り出す前に絵本を読んで気持ちを切り替えることができるようになりました。
ハッピーな時間を過ごせるようになったのは娘と絵本のおかげです。
絵本に学ぶ母親像
「子育て」のお手本
娘のためになるとか、役に立つとか、成績が上がるとか、そういうことのために絵本を読んでいるのではありませんが、結果的にそうなってしまう。
ただ楽しむために読んできた絵本や本が、のちに自分の行動を左右したり、思わぬ形で子育てに役立ったり、娘の学びの力になったりしています。
私はこれを「絵本の恵み」と読んでいます。その恵みの中のひとつに「母親像」があります。
「お母さん」が登場する絵本は沢山あります。「お母さん」たちは、私のお手本になってくれたり、励ましてくれたり、寄り添ってくれたり…。
「絵本の中のお母さんたち」は、お友達のような存在になっていて不思議な気分です。
絵本の中の「お母さん」
私を励ましてくれた絵本の中のお母さんたちを、少しだけご紹介します。
あのこはどーこ?
マリサビーナ・ルッソ/作 ほしかわなつこ/訳
(童話館出版)
アップルパイを作りながらベンのかくれんぼの相手をするお母さんです。子どもの行動を完全に読んでいて、全く無駄のない完璧な時間配分。
忙しいときでも話しかけられたら手を止めてあげたり、遊びに付き合ってあげたり(もちろん出来ないこともありますけどね)ほんの数分のことならなるべく相手するように心がけました。
ピッツアぼうや
ウィリアム・スタイグ/作 木坂涼/訳
(らんか社)
雨が降っていて外で遊べないピートの機嫌を直そうとするお父さんと、そのアイデアに素知らぬ顔で見事に乗っかるお母さん。不機嫌な子どもから笑顔を取り戻す素敵な方法です。
素敵なアイデアを思いつくお父さん、乗っかるお母さん、ユーモアたっぷりのこの家族に憧れます。「笑う門には福来る」
マリールイズいえでする
ナタリー・サヴィッチ・カールソン/文
ホセ・アルエゴ、アリアーヌ・デューイ/絵
星川奈津子/訳
(童話館出版)
いたずらをして怒られ、「家出して新しいお母さんを探す」と言い出したマリールイズ。
するとお母さんは「新しいお母さんを探すには、きっと時間がかかるわ、お腹すくわよ」と、サンドウィッチを作って持たせます。
わたしが娘に「家出する」なんて言われたらオロオロするか、激怒するかのどちらかです。こんなに冷静にテキパキとサンドウィッチを作って持たせるなんて。凄すぎる。
娘を信じて送り出す勇気、見習いたいところ盛りだくさんでした。
いかがでしたか?これはほんの一部。もっともっと素敵なお母さんが絵本の中にいます。強くて優しいお母さんばかりではありません。子育てに疲れて一人になりたいお母さんもいます。
子どもに読んであげているつもりが、自分の心にもストンと落ちてくる言葉があります・・とても不思議な感覚です。絵本の読み聞かせは、読み手の心にも良いことがあるようです。
読み聞かせのまとめ
最高にハッピーな親子の時間を過ごせる
親子の絆が深まる時間
私たち親子にとって「絵本」は生活の一部です。絵本に笑い、泣き、救われ、感謝し、絵本とともに成長しました。
「読み聞かせ」の時間は、最高にハッピーな親子の時間です。子どもの心の育ちを見つめることができ、親と子が心通わせるかけがえのない時間。
「読み聞かせ」で育んできた『親子の絆』は深く強く大きいものとなりました。
これから思春期を迎えます。3年後には、娘が自分自身で決めた中学受験も控えています。
様々な事が起こりうる未来を、これまで育んできた「絆」をもって乗り越えていけると信じています。